蓚酸アルマイト(蓚酸法陽極酸化皮膜)
現在設備改修工事の為加工停止中。加工再開は平成26年4月以降となる見込みです。



 蓚酸アルマイトは、アルミニウムを蓚酸水溶液中で交流と直流電流を組み合わせて陽極酸化することで得られる皮膜です。
一般に用いられている硫酸アルマイトに比べて、特殊な電源設備と技術を必要とするため、現在では加工しているメーカーは少なくなりましたが、皮膜性能は抜群です。
日本で発明され、アルマイトの語源となったこの皮膜は、優秀な皮膜性能と黄金の輝きを持つ、世界に誇れる皮膜です。
美しい外観と耐久性を製品に付加します。

300X1050X7000mmまでの製品に対応

「アルマイト」という名称は、財団法人 理化学研究所(現 独立行政法人 理化学研究所)で発明された「蓚酸法陽極酸化皮膜」の登録商標でしたが、現在では、蓚酸法に限らず、硫酸法その他、アルミニウム合金の陽極酸化皮膜の総称となっています。



◎外観
 淡黄色〜金色の美しい外観を製品に与えます。(合金成分の多い材質は灰色となります。)
特に5000系の合金は鮮やかな黄金色となります。

◎耐食性
 高い耐食性を製品に与えます。

◎耐候性
 日光堅牢度が高く、色調はほとんど変化しません。
 高い耐食性と合わせて、屋外での使用も安心です。

◎クリーン
 皮膜中にAl以上の重い原子を含みません。 皮膜中に存在するのは、含水アルミナとアルミニウム−シュウ酸キレート、シュウ酸塩であり、他のアルマイトと異なり、S(硫黄)やP(リン)などの放出が無く、半導体製造装置での製膜妨害物質の放出などが発生しません。


◎皮膜厚さ
    標準 6μm(最大15〜20μm(材質による))

◎耐食性
    キャス試験 8時間 RN9.8以上
    アルカリ滴下試験  90秒以上

◎耐磨耗性
    砂落し試験      150秒以上


※封孔処理は酢酸ニッケル又は蒸気のいずれかを選択できます。
陽極酸化皮膜は、多孔質で吸着性が高く、そのままでは汚染されやすく、十分な耐食性も無いため、封孔処理により、安定化する必要があります。
特に、蒸気封孔処理は完全な水和封孔効果があり、蓚酸アルマイトを、より堅牢なものとします。



「アルマイト開発秘話(理化学研究所 理研ニュースMay2005 より抜粋)」

アルマイトの開発は、主任研究員であった鯨井恒太郎、瀬藤象二(しょうじ)、宮田聡らのグループの研究成果である。開発の中心となった宮田は1924年(大正13年)に東京帝国大学を卒業して、鯨井研究室でアルミニウムの陽極酸化を研究していた。陽極酸化とはアルミニウムをシュウ酸溶液につけて表面を酸化被膜で覆うものだが、そのままでは被膜の中に染み込んでいたシュウ酸が乾燥とともに表面に結晶として出てきて白い粉となる。これを防ぐために、電解後、温湯で煮出す処理をする。この煮出しの作業中の不注意が、アルマイト発明につながった。
理研の記念史料室にその失敗の記録が残っている。「数枚の定規を重なり合わせたまま、お湯の中で煮てしまった。その結果、取り出したときに部分的に変色したところができた。この失敗を取り戻すために再び電解したところ、いくら電流を流しても変色した部分の色が消えなかった。この部分を詳細に調べた結果、多孔性を失って電解液が染み込まない状態となっていることがわかった。これは前々からわれわれが欲求して満たし得なかった多孔性の滅失ということが偶然にも達成されていた」と実験ノートは語る。この失敗が、アルミニウムの酸化被膜の持つ欠点を一気に解決する手掛かりとなった。「多孔性を百発百中、滅失させるためにはどうすればよいか。この問題を解決するために、新たに活発な研究を展開した結果、わざとシュウ酸を染み込ませた状態で、4から5気圧の水蒸気を作用させれば、その目的を的確に達成することを見いだした」のである。
宮田自身はこの思いもかけなかった発見を、『アルミニウム年鑑・マグネシウム総覧』(金物時代社発行、昭和14年)の応用加工編で次のように書いている。「ある日、筆者は驚異な事実を目撃した。それを子細に調べると、ますます不思議である。この事実から推理して、アルミニウム酸化被膜の多孔性は、高圧水蒸気に曝(さら)すとなくなるのではないかと直感的暗示を受けた。電気絶縁物である酸化被膜は電気を通じてつくるため、酸化被膜には電気を通じる孔が開く。孔があれば被膜が厚くても防食効果はなくなる」。この多孔性の問題が解決への糸口となり、宮田は熱機関を専門としていた親友の山田嘉久を訪問、そこのボイラーを使って確かめる実験を行った。「天はわれわれに幸して、直感の事実であることの確証を得て凱歌(がいか)を上げることができた」。実験は見事成功し、その成果は国内外で高く評価された。



理研アルマイト工業株式会社